みなさん、羽田空港へ行くときにこう思ったことありませんか?
「なんで東京モノレールって、東京駅じゃなくて“浜松町”始発なんだろう?」
東京から空港へ向かう路線なのに、
なぜか東京駅でも新橋駅でもなく、浜松町。
使ったことがある人はわかると思うんですが、地下鉄やJRからの乗り換え。あれ結構面倒ですよね。
しかもモノレールのホームって地上5階にあるので、旅行前にスーツケース抱えて階段を登るのはなかなか大変です。
この浜松町駅が始発の不思議な状態、開業から60年ずっと変わっていません。
実はここにはちゃんと理由があるんです。
そして東京モノレールって鉄道会社だし、めっちゃくちゃ安定感ありそうな企業ですが、実はコロナ禍に経営が揺らぐほど大ピンチに陥った過去があるんです。
そこで今回は、羽田空港への足でおなじみの東京モノレールはなんで浜松町始発なのか?
そこをベースに旅行でよくお世話になる東京モノレールについて、皆さんにご紹介したいと思います。
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東京モノレールってどんな路線
まずは東京モノレールについて、簡単に紹介します。
東京モノレールは、浜松町〜羽田空港を結ぶ全長17.8kmのモノレール路線で、路線が開業したのは1964年。

東海道新幹線とまさかのタメです。
会社自体はもう少し前の1959年に大和観光株式会社という会社から始まっていて、1964年5月に東京モノレール株式会社に名前が変わりました。
そしてその年の9月に東京モノレールが開業したという流れです。
モノレール開業前の当時は羽田空港へのアクセスがバスくらいしかなく、競合の京急線が羽田空港に乗り入れするのはもっと後の1998年でした。
「とにかく早く、空港と都心を結ぶ交通が欲しい!」
という要望のもと、わずか1年半の突貫工事で作られた大プロジェクトだったんです。
工事のスタートに行う起工式が1963年5月にあって、開業したのが1964年の9月。あの長さをたった1年半で作るってヤバいですよね。絶対サービス残業とかありましたよね。
現在はJR東日本のグループ会社で、いまも羽田空港への主要アクセスとして使われています。
JR東日本のフリーパスにも東京モノレールが入るのはそういった理由があるからです。
ちなみに土日祝日にモノレールと山手線がおトクになるモノレール&山手線内割引きっぷはめっちゃお得なのでぜひ覚えておいてください。
そんな東京モノレールの特徴は、
・海の上や高速道路の隣を走るダイナミックなルート
・「モノレール」でありながら最高80km/hという高速運転
そして、1日20万人以上が利用する“空港特化型”の交通機関として現在も走っています。
しかし裏を返すと、空港利用者に依存した路線なので、コロナ禍では利用者が激減。経営が厳しくなる時期もありました。ここについては後で話したいと思います。
といった感じの背景を持つ東京モノレール。
じゃあ今日タイトルにもある、なぜこの路線は“東京駅でも新橋でもなく、浜松町始発だったのか?
ここからその理由を深掘っていきます。
なぜ浜松町?3つの理由
空港アクセスの路線なら、東京とか品川とか新橋とか、都心のど真ん中に乗り入れた方が便利そうですよね。
でも東京モノレールは開業した1964年から、ずっと浜松町が始発です。
実はこれ、「浜松町に決めた」というより、 浜松町しか選べなかったというのが本当のところなんです。
理由は大きく分けて3つあるので、一つずつ解説していきます。
①とにかく時間がなかった
では一つ目、とにかく時間がなかった。です。
皆さん1964年と言えば日本でとある一大イベントがありました。さてなんでしょう?
そう東京オリンピックですね。
当然国内海外問わず多くの人が羽田空港を利用します。
ただ当時の羽田空港はアクセスもバスが中心で、渋滞したらどうにもならない状況でした。当然京急もいません。
国としても「オリンピックまでに空港アクセスを整備したい!」と思うわけです。
でも開会式まで残された時間はたったの1年半。
東京駅まで延ばしていたら、絶対に間に合いません。
当時めちゃくちゃ急かされてたんじゃないですかね。
② 東京駅〜新橋〜浜松町は線路も道路もパンパンだった
二つ目が線路も道路もパンパンだったからです。
東京〜浜松町の区間を利用したことある人はわかると思うんですが、あそこってもうすでにインフラがパンパンなんですよ。
山手線、京浜東北線、東海道線、東海道新幹線に加えて首都高が通って地下には地下鉄も走ってるというギュウギュウっぷり。
つまり東京駅まで行くスペースがありませんでした。
ほんとタンスにギュウギュウに服が詰まってて、新しい服(モノレール)を入れる余地がないような状態です。
東京駅まで行こうとしても時間がかかり、オリンピックに間に合いません。
一方で浜松町駅や新橋駅は余剰スペースがあり、「ここなら起点ならすぐ工事ができる!」と判断されたわけです。
新橋なら東海道線も停まるし浜松町よりは便利だからいいですよね。でもダメだったんです。
初めは新橋駅始発で話が進んでいたんですが、駅周辺の民間の土地の買収やら交渉やらで時間がかかることがわかったからなんです。
オリンピックまでほんと時間がねぇ!という状況だったことがわかりますね。
浜松町駅なら土地はまだ余ってて、海の上を通して空港まで線路を伸ばせばいいだけということがわかり、結果浜松町が始発になりました。
今の浜松町は高層ビルとかがバンバン建っていて、モノレールはその狭い空間を走っているところが見られます。
芝浦あたりはよくこんなところに作ったなと思うようなところを走ってます。
③モノレールは海や高架を走れるから選ばれた
3つ目はモノレールを作りやすいからです。
羽田空港へまっすぐ行こうとすると、工場地帯があったり、海を越えなきゃいけなかったり、普通の電車だと難しいルートでした。
そこで、
「じゃあモノレールで上空を走らせればいいじゃん」
となったわけです。
・工事が早い
・海の上にも作りやすい
という理由からモノレール方式になり、その条件に合う“スタート地点”としても浜松町が最適だったんです。
駅は東京湾のすぐ近くにあるので、とても理にかなってたわけです。
ちょっと話それますが、モノレールは大きく懸垂式と跨座式の2つがあります。
東京モノレールは跨座式の方で、懸垂式は千葉都市モノレールと湘南モノレールの2つのみです。
懸垂式は線路の点検とか建設費が高いなどの理由であまり導入されていません。
跨座式の方が建設費とか諸々コスパ良さそうって感じしますよね。
こうして無事に東京モノレールは開業し、オリンピックフィーバーとモノレールっていう珍しさからたくさんのお客さんが利用するようになりました。
休日には1日で5万5千人という盛況ぶりだったそうです。
オリンピックが終わると、飛行機はまだまだ高価な乗り物であったことや、羽田が今ほど発達してなかったことやそもそも運賃が当時としては高いという理由で赤字が続きます。
ただそれも羽田空港の航空路線が増えたことで、1972年以降再び黒字になっていきます。
こうしてみると空港とめちゃくちゃ連動していることがよくわかりますよね。
そんな東京モノレールですが、オリンピック後の赤字よりやばかったのが次です。
コロナ禍の経営危機
ではここからはグッと最近の話で、東京モノレールがコロナ禍で経験した “大赤字” の話をしたいと思います。
東京モノレールといえば、羽田空港と都心をつなぐ“空港アクセス特化”の路線ですよね。
つまり利用者の多くが 飛行機を使う人 なんですよね。
ところが2020年、コロナで航空需要が大幅に激減しました。
人の移動自体が止まったことで、年間利用者数はコロナ前の約4,991万人 → 約2,528万人。
なんと “ほぼ半分” にまで落ち込みます。
空港アクセスに依存していた路線だからこそ、この影響をモロに受けてしまいました。
ちなみに僕もこの時、内定先の企業から内定取り消しにあうという大打撃を受けました。
この利用者激減と並行して、東京モノレールは約608億円の純損失を計上したという報道があります。
わかりやすく言えば「67年分の利益が吹き飛んだ」なんて表現もされるくらい、かなり衝撃的な数字です。
会社として大きなダメージだったのは間違いありません。
さらに利用者が減ったタイミングで、東京モノレールには大規模な設備更新も迫っていました。
耐震補強、信号・電気設備の更新、浜松町駅の建て替え計画など、避けられない投資がたくさんあります。
「利用者は減ったのに、お金は必要」というダブルパンチの時期だったわけです。
その結果、東京モノレールは 2024年3月に平均10.8%の運賃値上げ を実施しました。
これ記憶に新しい人もいるんじゃないですかね?
浜松町〜羽田空港のIC運賃は492円 → 519円 に値上げされ、通勤定期はなんと 25%以上アップ しました。
どれくらいのすごいかって、浜松町~羽田空港間の1ヶ月の定期代1万1280円が1万4600円になるってことです。単純計算で年間3万円近くが定期代にかかることになります。

ナビタイムで乗り換え検索した時に、目に見えて値段上がっててビックリしたのを覚えてます。
もちろんこれは単純な料金改定ではなく、「コロナ前の利用者数には戻らない」という前提で、これからも路線を維持するための“現実的な選択”だったそうです。
半分以上お客さんが減ったってなったら、そういう判断もするのも納得ですよね。
これからも安全に走り続けるためには、仕方ない判断だったと思います。
そして今度はJR東日本が現在建設中の、羽田空港アクセス線が、立ちはだかります。
東京駅から羽田空港まで約18分で結ばれる見込みでめちゃくちゃ便利です。
2031年に完成予定ですが、明らかにJRの方に利用者が流れる気配がしています。
東京モノレールは今後どういう立ち回りをするのか気になるところですね。
まとめ
ということで今回は、都心と羽田空港を結ぶ東京モノレールをご紹介してきました。
東京モノレールは2024年に開業60周年を迎えて、2017年時点で累計利用者は20億人を突破したそうです。
そのうちの100人くらいは多分僕ですね。
小1の頃初めて乗った青とオレンジのモノレールの車両に感激して、夏休みの自由研究で工作用紙でモノレール作ったのを思い出しました。
なので東京モノレールには頑張って欲しいなと思います。
このブログでは皆さんの旅のプラスになるような情報をお伝えできるよう、日々記事を制作しています。
それでは今回も最後までご覧いただきありがとうございました!
またお会いしましょう!






